246O1

余生を楽しむ三流クライマーの日常

錫杖岳「見張り塔からずっと」の登攀(撤退)

date:2022/08/14

member:Sikaou,J

 

昨日に引き続き錫杖岳。今日は目的だった「見張り塔からずっと」を登る。滝左のスラブから登るが、ラインが分かりにくい。残置カムに導かれて右寄りに進んでしまったおかげでかなりランナウトしてしまい、朝一から緊張の登攀となった。5ピッチで北沢大滝を抜け、一度登山靴に履き替える。

大洞穴の取り付きを間違え、懸垂下降を強いられるなど時間をロスしてしまったが、ようやくびしょ濡れの大洞穴に到着。気合いをいれてJさんが登攀を開始した直後、どしゃ降りの雨が振り出す。このピッチはともかく、上部5.9のスラブは無理だろうと思い撤退を決めた。退路をよく確認してなかったので右往左往したあげく、なんとか右俣沢経由でテン場に戻ることができた。明日の登攀も無理そうなので、そのまま下山することにした。

本日のログ。ピークまでもうちょいだった…。

1P目(5.6)、朝一で濡れている所もあるので難しく感じた。支点も信用できない。

上から見た図。50mギリギリのピッチ。終了点前10mのランナウトはかなり心臓に悪い。

2P目(5.6)、ここはグレード通りの優しいピッチ

簡単とは言え、ルートがよく分からないのでピッチを刻んで登る。

3P目(Ⅳ)、簡単だがほとんど沢登りのような濡れ具合。

上から見た図、ここも50mいっぱいまで伸ばす。

4P目(Ⅲ)、滝左のクラックからスラブへ。ここも濡れているのでグレード以上に厳しい。

上部のスラブ、終了点は残置ハーケンとカムで構築。

5P目(Ⅲ)、支点は一つもなく、終了点も見当たらない。仕方ないのでぼろい岩にスリングを巻いて確保した。このピッチは60mザイルだと安心かも。

上から見た図、奥に左方カンテを登るクライマーが見える

靴を履き替えて藪を進む。

本来は中央稜を超えて登り返さないといけなかったが、正面の穴の開いた岩壁に釣られて真っすぐ進んでしまった。

間違えて登った小洞穴のジャングル。残置カムやスリングなども残っていたので、間違えた人が他にもいるようだ。

草付は非常に滑りやすいので、懸垂下降で小洞穴を脱出。

ようやく大洞穴に到着。雲行きが怪しいので早く登りたい。

6P目(5.9)、このルート1つ目の核心。やや薄被り、びしょ濡れなので難しそう。5m進んだところで一気に雨が振り出したので、一度撤退。このピッチはともかく、次の7P目は支点の少ないフェースのトラバースなので、登るのは難しいと判断した。

登りは多少濡れていても問題なかったが、下降は厳しい。懸垂下降を繰り返すためかなり時間を要した。

エスケープが分からず色々悩んだ挙句、右俣沢を下降することにした。懸垂下降を繰り返し高度を下げていく。大雨の中、体温がどんどん奪われていく。下山できる保証もないのでかなり緊張の下降だった。

沢を下降するので、当然靴はびしょ濡れ。ほとんど沢登りと変わらない。

滝にかかるトラロープを発見し、ようやく安堵した。山頂にはたどり着けなかったが、それ以上に長く厳しい登攀をしてきたような感慨が押し寄せる。

目印のテープに感謝するJ

16時頃、我が家に到着。寒いのですぐに着替える。

1杯のチキンラーメン。今まで食べた食事の中で一番美味しかったかもしれない。

即下山。ヘトヘトなので結構厳しかった。

7時、なんとか暗くなる前に下山した。疲れたー!

地元の人に教えてもらった野湯に入る。真っ暗で雨が降る中、ヘッドライトを点けて1時間ぐらいつかっていた。目を瞑ると厳しい下降を思い出す…。