246O1

余生を楽しむ三流クライマーの日常

硫黄尾根の登攀 day2

date:2023/05/03

member:Sikaou,Utti,Yam &A君

 

核心となる2日目。藪漕ぎと日焼けで全身が痛み下半身の疲労もあるが、天候はど快晴。まずは硫黄岳まで400mの登り。相変わらず藪漕ぎと積み木のような岩稜歩きが続く。約2時間で硫黄岳山頂に到着し、穏やかな硫黄台地からの絶景を楽しんだのも束の間、そこから赤岳までの3kmの行程がまさに核心となった。事前に確認していた記録より雪が少ない上に、脆弱な支点での懸垂下降、落石の恐怖、先行きの見えない不安から、張り詰めた空気が終始、パーティーを包んでいた…。

14時半にはようやく赤岳から下降し、中山沢のコルに到着する。体力的には厳しいが、翌日早朝に凍った雪面を登りたくないので、先に進む。赤岳主峰も雪面トラバースや崩落した斜面の登りが連続するが、特別難しい箇所は無かった。17時、精魂尽き果てて白樺平に到着、危険は脱し安堵する。その日は北鎌尾根を目前にテント前で祝杯をあげた。

day2の行程、白樺平までわずか5.3kmの距離だがおそろしく長く感じた。

5時に出発。朝から日差しが暑い。今日も日焼けは必至だ。

硫黄岳前のリッジ、雪渓に亀裂がある。ここもいずれ雪が落ち、厳しいガレ尾根に変わるだろう。

7時、硫黄岳に到着。素晴らしい展望に気が緩む。



硫黄台地の素晴らしい尾根歩き

2511mのピーク、青と白!

2511mピークを下ると尾根が行き詰まる。残置支点を確認し、そこから湯俣沢側へ下降。

さらに懸垂

懸垂3回目。落石が多くひやひやした。

この辺を下ってきた。もう登り返して撤退することは無理だろう…。

その後も尾根上は厳しい。落石だらけ。

厳しかった硫黄岳の下りを振り返る

南峰と呼ばれる2459mへの登り

南峰からの景色、ゴールが見えたのは良いが、登れるんだろうか…。

南峰の下降、ここもガレガレなので油断できない。

正面の岩峰は越えられそうにないので、右の雪渓を下降する。

斜面のトラバース。

さらにトラバース。見た目は簡単そうだが、滑ると止まらない雪渓。緊張する。

尾根に戻ると再び岩峰。登れそうだが、脆そう…。

記録によってはザイルを出すところだが、これまでザイルが当たって岩が落ちてくることが結構あったので、フリーで進むことにした。

自分の横の岩が崩落し、電子レンジサイズの岩がUttiさんの横を通過した直後の様子。自分はこれ以上落石しないよう静止している状況。全体を通して、最も危険な瞬間だった。

岩峰を越え、再び下降。ここは懸垂なしで下降できたが、なかなかの藪漕ぎ。

再び岩峰に阻まれ、悩んだ挙句に右の雪渓へ。

雪渓のトラバースに行き詰まり、再び懸垂。脆弱な2本の木を支点にしたが、2人目の下降で1本が千切れ、危うかった。

50mザイルいっぱいで下降。ここも落石が多く、右横で避難している。今回はシングルできたが、ダブルでも良かったと思うほど懸垂を多用した。

本日最大のトラバース。雪渓が繋がっているのか不安MAXだったが、行くしかないので進み続ける。バイルを2本持ってきてよかった。

その先にも長い雪渓トラバース、右端のピークに向けて進む。

最後の雪渓登り。ようやく尾根上に出ることができた。ふくらはぎがパンパン。

本日の目的地だった中山沢のコルは目の前。だが、どうやって下降するんだ…。

岩峰になんとかリスを見つけハーケンで支点を構築。今回の山行、スリング5本とカラビナ4個を支点として残置することになった。これで命が助かるなら安いもんだ。

懸垂で中山沢のコルへ到着。

中山沢のコルから赤岳を振り返る。

まだ時間に余裕があるので赤岳ジャンダルム群も突破してしまうことに。

今回一番の急傾斜。暑さで軽い熱中症状態の中、フラフラになりながら登りきる。

テン場となる白樺平はまだ先

最後まで脆い岩稜が続く。

この岩峰を越えれば白樺平

17時、白樺平に到着。全身ボロボロ…。

本日の反省を踏まえ、大量の水を作る。快適なテン場に感謝。

day3に続く…。